いまではあまり見なくなりましたが、トヨタの車の「トヨタエンブレム」を外して、わざわざ「レクサス」のエンブレムを付けて走行している車を目にする機会が多くありました。
しかも、新車で購入すれば高級車として分類されるような車に対してそのようなエンブレム交換が行われているのを目にしたときに、レクサスを購入する人の心理、レクサスがブランドとして確立されて支持されている理由を垣間見ることができたような気がします。
つまり、車はトヨタだが志はレクサスという人がエンブレム交換をするわけです。
もちろんトヨタブランドとして発売されているモデルと、レクサスブランドで発売されているモデルでは、表面的に似通っているところがあっても、内装や走行性能、足回りなど多くの部分が異なってきますので比較の対象にはならないと思います。
それでも、本当に単純に考えてしまうと、レクサスにするだけでかなり値段が上がるように感じて、「ブランド料としてそれだけ支払う価値があるのだろうか」と考えてしまうのです。
ところが、トヨタとレクサスの間の価格差に、価格以上の価値を見いだすためにレクサスが売れているのです。
国内市場でもレクサスの割合が着実に増えています。
高価格帯ながら、販売されるモデルのほとんどが販売予想台数を上回る結果になっています。
これは、バブルの時期に高級車が飛ぶように売れた消費減少と同じなのでしょうか。
じつは、詳しくレクサスを購入する人のマインドを調査すれば、バブルの頃の高級車ブームとは大きな違いがあることに気付かされると思います。
以前であれば、お金を持っているというイメージで見られたい、自尊心を維持するためにという理由で高級車が売れたかもしれませんが、レクサスを購入する場合には純粋に品質に対して価値を見いだすので、たとえ同じようなモデルがトヨタから出ていて割安感があっても見向きもしないということになるのです。
つまり、レクサスに手を伸ばす人ほど実は堅実な人で、良いものを購入できるのであれば対価は支払うという人たちなのです。
トヨタのエンブレムをレクサスに交換する人たちの心理状況からして、一瞬ではあるもののレクサスを購入する人もやはりブランド志向、見栄っ張りのであるかのような錯覚を受けてしまいましたが、じつはその反対でした。
もちろん者を買うのに動機も正当な理由も必要ありませんし、志向はそれぞれ異なります。
しかし、レクサスが品質のいいものを造り続けるかぎり、価格競争に巻き込まれることなく自身の地位を確立し続けることができるに違いありません。